<< 若い翼は(3) | main | 地味すぎて気付かれない「つぶやき」指導 >>

若い翼は(4)終

みかみ先生の授業の後、今度は俺の授業を見てもらった。昨年夏に友人が来て以来、今ではやらなくなった「ダブル授業」を見てもらった。俺は今、中3しか教えていないので、この日来ていたもう1つの学年の中2のメンバーの学力や性格についてあまり知らない。それでもみかみ先生にはせっかく来てもらったのだし「ダブル授業」なんて今後二度と見る機会もないと思ったので、以前のようにうまく行くかどうかはわからなかったがやることにした。まあ、雰囲気ぐらいは感じてもらえたのではないかと思う。

恐縮だが、ここで俺の塾の生徒のことも褒めておきたい。俺は事前に「京都から先生が来る。経験も十分にある優秀な先生です。いつもと同じように授業を受けてください。」と伝えておいた。彼らはこの日、本当に普段通りの授業態度だった。こういうことができたのは、彼らが「素直」だからである。初めて見る先生に質問をする。どれだけ勇気の要ることだろう。今年の中3は大人しい子が多いが、彼らは静かでありながら積極姿勢だった。授業が終わっても、みかみ先生への質問が続き、先生は丁寧に対応してくださった。帰り際も「先生は中学時代どんな勉強をしていましたか?」「先生は中学時代、定期試験で何点ぐらい取っていたのですか?」と生徒がみかみ先生に質問する。やはり賢く優秀な若い先生、しかも優しい先生に生徒たちは憧れを抱くのである。中には子どもならではの奇想天外な質問もあった。「京都大学って、中学でどれぐらいの成績を取れば行けますか?」。いちばん面白かったのは「先生の今の偏差値はどれぐらいですか?」。みかみ先生苦笑い(笑)。

授業の後、食事にお連れして、いろいろな話をした。その中でいくつか質問も受けた。俺の授業のこと、ブログやツイッターの内容のことだ。その中で興味深かったのは「指名して発問するか。発問して指名するか。」という質問。俺はあまり意識していなかったのだが、この日の俺の授業はこれがほぼ50:50だったらしい。こういう観察眼や質問はさすがである。考えてみると、俺が「発問⇒指名」をやる場合は、その問いを1度全員で共有して考えて欲しい時。反対に「指名⇒発問」の場合は、だいたい既習の確認事項を当てる場合が多い。あらためて、こういうことを考えるきっかけを与えてくださったみかみ先生には感謝したい。あと覚えているのが、いつかブログで書いたのだろう、「なぜ、他の先生(塾)なら怒らないような小さなことまで怒るのか」みたいな質問だったと思う。「その気持ちは内面から自然に出るものなのか、ポーズなのか」というようなことも聞かれた。俺はあまり気の利いた回答はできなかったが「内面からです」「預かった生徒を絶対に上げたいからです」「自分の生徒が『絶対にできる』と信じて疑わないからです」「もしも預かった生徒を上げられなかったときに、生徒の責任にしたくないからです」「これが僕のプライドなんです」。そんなことを答えた覚えがある。これらの回答が、どれほどみかみ先生の期待に応えるものであったかは知る由もない。しかし、これが俺の「偽らざる本音」であることが伝わっていればそれでよいのである。あとはブログを閉鎖した理由も聞かれた。俺がどういう気持ちでブログを書いてきたか、ツイッターをやってきたか。なぜブログをやめたか。そういう話もすべて率直に申し上げた。

ところで、みかみ先生の洞察力に感心したことが1つあった。それは、みかみ先生が他人のツイートの内容やタイミングから、その人の意図を感じ取っていたことである。実は、これは俺もよくやることであるが、みかみ先生がこの日に俺に話した「読み」は、俺もそう思っていたということもあり「へえ、やるなあ」とさらに感心した。

みかみ先生は、日本でもトップの最高学府にいる。選択肢と言う意味では、それこそ可能性が多方面にある。研究者の道でも、一流の企業でも。しかし俺が驚いたのは、みかみ先生の気持ちの一部に「自分の塾をやってみたい」という思いがあることだった。こんなに頭脳明晰で真っ直ぐな人が教育の世界に入ったら、子どもたちはどんなに幸せだろうか。俺の本音としては、こういう優秀な若い方にどんどん教育に携わって欲しい。ただ、ご両親や周囲は少なからず反対するだろうけれども(笑)。そう、そのままレールを走れば安定した暮らしや仕事が約束されているかもしれない中で、敢えてそこからダイビングして、いばらの道に素足で飛び込むのは大変勇気が要ることだ。「そもそもこの道しかなかった」ケースとは雲泥の差があるのだ。人生は1度きり。楽しく生きた人間が「勝者」だ。

みかみ先生がどのような決断をされるのかはわからない。しかし、俺はこの勇気のある京都の若者に大いなる期待をして、陰ながらずっと応援して行きたい。そしてまた、こういう活きのいい若者と出会えた偶然に感謝したい。

みかみ先生ご自身もこの日のことをブログに書かれているので、同じ現場がお互いのカメラにはどう映ったのか。興味がある方は読み比べるのも面白いと思う。

最後に、俺が中学1年生の時、2つ上の学年の3年生の課題曲だった「若い翼は」という詩を載せたい。俺は音楽の授業とか合唱とかに関しては恥ずかしいほど不真面目な生徒だったが、この曲の歌詞だけがずっと頭に残っている。「何があるのか恐れもせず。弾む若い命ただ信じて」。なぜだかわからないが、30年以上前に偶然耳にしたメロディとフレーズが今でも鮮明に残っている。



 

流れゆく 雲のかなた

まだ知らぬ 未来求め

若い翼は 大空仰ぐ

悲しみの嵐ふくのか

寂しさの海続くのか

何が待つのか恐れもせず

何が待つのか恐れもせず

弾む若い命ただ信じて

弾む若い命ただ信じて

(曲「若い翼は」)




みかみ先生という、その若い翼はこれからどこへ向かうのだろう。「何が待つのか恐れもせず。何があるのか戸惑いもせず。若い命ただ信じて。」。力強く羽ばたいていただきたい。

以上です。

駅で出会ってから、塾に来ていただき、授業の後バカ騒ぎをして、閉鎖していたブログにその気持ちを書き表す・・・。みかみ先生という、1人の若者の高邁な志と勇気ある行動に対する、俺のささやかな、それでも気持ちを込めたせめてもの「お返し」である。

みかみ先生、ありがとうございました。八つ橋美味しかったです。福岡は初めてということでしたね。これからもずっと「福岡、ロカビリー塾、塾の生徒、わけのわからない研修会場、年齢不詳、妖怪館(笑)」のように、記憶のどこかに残してもらえると嬉しいです。

これで終わります。



 

ロカビリー * シリーズもの * 18:17 * comments(0) * -

コメント

コメントする









このページの先頭へ